カリタス小学校は、キリスト教の理念に基づいた教育を提供する、神奈川県川崎市の私立小学校です。
カナダのケベック・カリタス修道女会によって創立され、2023年には創立50周年を迎えた歴史ある学校です。
カリタス学園は中高一貫教育に力を入れており、女子生徒のほとんどはカリタス女子中学校・高等学校へと内部進学します。
また、男子生徒は難関私立中学校へと進学する生徒が多く、進学実績も十分といえます。
当記事では、そんなカリタス小学校の学校生活や入試方法について、関西圏の私立小学校入試に実績のあるTAMが解説していきます。
カリタス小学校の基本情報
■住所
〒214-0012
神奈川県川崎市多摩区中野島4丁目6-1
TEL:044-922-8822
公式サイト:カリタス小学校
交通情報
- 小田急線・JR南武線「登戸駅」から川崎市バスで5分
- JR南武線「中野島駅」から徒歩10分
基本情報
経営 | 学校法人 カリタス学園 |
共学・男女別 | 男女共学 |
生徒数 | 1学年約110名 |
制服 | あり |
給食 | なし |
教育理念・教育方針
カリタス小学校はキリスト教の理念に基づき「ともに祈り、学び、仕える人に」を教育理念としています。さらに、「祈る」「学ぶ」「仕える」それぞれで以下のような目標を掲げています。
ー神を信じ、人と生き物をいつくしむ
- 神の優しさを思い起こし、祈りができる子
- 生かされていることに感謝し、自他を大切にできる子
ー互いに磨き合って深く考え、創り出していく
- 何事にも意欲をもって取り組む子
- 創意工夫して問題が解決できる子
- 多面的、総合的に考える子
ー良心の声にしたがって判断し、実行する
- みんなで力を合わせ、規則正しい生活ができる子
- 喜んで他者のために働くことができる子
- 健康な心身をもつ子
一人ひとりが神から与えられた才能を引き出し、惜しみなく発揮できるよう育てるとともに、他者の考え方や個性を尊重し、互いに成長し合える環境作りを進めています。
カリタス小学校の授業カリキュラム
科目概要
カリタス小学校では、国語・算数・理科・社会の主要4教科に加え、外国語・音楽・図工・家庭・体育・総合・宗教と多くの副教科が用意されています。
外国語教育
カリタス小学校の外国語教育は英語に加えて、フランス語教育にも力を入れています。
1年生での目標は、英仏語の複合語教育を行い、言語ごとの音に耳を慣らし、「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つのスキルを磨くことです。
加えて高学年では、英仏語によるスピーチなどを通して、外国語での自己発信も学んでいきます。
他にも子どもたちが主体となって英語・フランス語でのワークショップを行ったり、フランス人学校との交流などを通して、実際に外国語を使う経験も豊富です。
宗教教育
「心の教育」では「神を信じ、人と生き物をいつくしむ」を目標に、神に心を開き、よろこびと感謝の心を育みます。
「宗教」の授業では、聖書を通してキリストの生き方を学んでいきます。
高学年になると、WFP(国際連合世界食糧計画)の活動への参加などを通して、学んだ生き方をどのように実行するかを考えます。
また、朝礼・終礼など日々の生活の中に祈りの時間を設けるとともに、マリア祭やクリスマスミサなど宗教行事にも力を入れています。
総合教育
教科に囚われず、体験的学習・調べ学習を行うのが「総合教育」です。
低学年では、栽培や飼育など体験的な学習を通して、五感を磨き豊かな感覚を育てていきます。
高学年では、クラスごとに年間のテーマを設定し、調べ学習や様々な実験を通して研究を深めていきます。
学校のホームページにて各学年・クラスの活動レポートを読めるので、ぜひご参照ください。
カリタス小学校|総合教育活動
カリタス小学校の年間行事
1学期
- 入学式
- 移動動物園
- マリア祭
- 運動会
- 男子交流会「ようこそ先輩」
2学期
- 神奈川県私立小学校音楽会(6年)
- CARITAS Athletic Festival
- 点灯式
- 待降節の集い
- クリスマスミサ
3学期
- カトリック音楽会(5年)
- 学習発表会
- 感謝ミサ
- 卒業式
宿泊活動
2〜6年生では宿泊活動を実施します。
2年生では学校に1泊2日でお泊まり会を行い、3年生以上は他県に赴き各地の自然に触れます。
普段と異なる環境での体験や発見を楽しみながら、友達との共同生活を通して、リーダーシップや協調性などを育むことが目的です。
2年生:学校宿泊
3年生:山梨県山中湖
4年生:新潟県妙高・長野県黒姫
5年生:新潟県妙高
6年生:岩手県遠野
※年度によって宿泊地が変更される場合があります。
カリタス小学校の進学情報
進学先について
女子生徒の約9割はカリタス女子中学校・高等学校へ内部進学するようです。
一方、男子生徒は内部進学ができないため、基本的に私立中学校へと進学することになります。
進学実績は優秀で、開成や聖光学院をはじめとする難関中学校合格者を多く輩出しています。
カリタス小学校の学費
初年度にかかる学費は約1,170,000円で内訳は以下の通りです。
- 考査料 25,000円
- 入学金 200,000円
- 施設拡充費 200,000円
- 授業料 432,000円
- 維持費 120,000円
- 学習費 72,000円
- その他の費用 約120,000円
カリタス小学校の入試を徹底対策!
ここからは、カリタス小学校の入試情報について解説していきます。
実際に過去問題集を確認しての気づきや要点をまとめていますので、カリタス小学校の入試を検討している方はぜひご覧ください。
また、カリタス小学校の入試科目の概要は、募集要項で確認できます。
公式サイトにてチェックしてみてください。
カリタス小学校の入試情報
入試日程
カリタス小学校の入学試験は、例年10月中旬〜下旬にかけて行われます。
2024年度入学試験の日程は以下の通りです。
出願受付期間 | 9/1(金)9:00 ~ 9/25(月)16:00 |
入学選考 | 【面接】10/13(金)または 10/14(土)【考査】10/20(金) |
合格発表 | 10/21(土)17:00 |
入学金納入期間 | 10/21(土)17:00 ~ 10/23(月)15:00 |
定員・倍率
カリタス小学校の定員は、カリタス幼稚園からの内部進学者を含めて108名です。内部進学者の数によって、外部受験生の募集人数が変わりますが、約70名程度と予想されます。
志願者数は年々増加しており、2023年度入試は442名(男子:57名、女子:385名)でした。
入試結果は公開されていませんが、他校との併願での受験生も多いことを加味すると、倍率は2.5倍程度と推測できます。
入試の概要について
カリタス小学校の入試では、面接と考査が行われます。
面接
考査日前に親子面接が行われ、質問と音読・お話作りが課せられます。
以前は音読が集団テストに含まれていたので、年度によって多少試験の方式が異なるようです。
①質問
お子さんへの質問は名前や好きなことなど一般的な質問が多く、年齢相応の会話能力があれば問題ありません。
一方で保護者には子育てや教育・学校への考え方を問われ、学校の教育方針への理解や志望の熱量を見られています。
また、質問に加えて「自己紹介をしてください」という職業などを自由に話す形式もあるのが特徴的です。
家族間で教育方針などを話し合って明確にしておき、回答でつまることがないようにしておきましょう。
【質問例】
<お子さん>
・お名前を教えてください。
・何をしているときが楽しいですか。
・朝ごはんは何を食べましたか。
・お母さんはどんな人ですか。
・お手伝いは何をしていますか。
<父親>
・自己紹介をしてください。
・趣味は何ですか。
・志望理由を教えてください。
・学校説明会には来ましたか。また、その時の印象を教えてください。
・子育てに関して、夫婦で意見が合わない時はどのように解決しますか。
<母親>
・自己紹介をしてください。
・学校の印象を教えてください。
・どのようなときにお子さんを褒めますか。
・一人の時間をどのように作っていますか。
・自分とお子さんで似ている点はどこですか。
②音読
カリタス小学校ならではの出題です。
ひらがなで書かれた文章を音読する形式です。
部屋やお風呂にひらがなの表を貼る、ひらがなのみの絵本を読むなど、日々ひらがなに触れる機会を増やし、音と文字を対応させて正しく発音できるようにしておきましょう。
③お話作り
こちらもあまり他に類をみない問題です。
数枚の絵を見て、面接官の先生が途中までお話を作るので、続きをお子さんが作っていきます。
お子さんが自分で考え、自分の言葉で伝えられるかが見られています。
身の回りで起こったことや絵本で「この後どうなると思う?」など問いかけ、先の展開を想像する、考えるといった経験をたくさん積んでおきましょう。
考査
考査ではペーパーテスト・個別テスト・集団テストが行われ、加えて運動テストが課された年度もありました。所要時間が計2〜3時間と長いことが特徴です。
①ペーパーテスト
ペーパーテストは、「話の記憶」「数」「推理・思考」「常識」など幅広い分野から出題されます。
問題を正解できるかに加え、長めの試験時間に耐えられるか、スムーズにプリントをめくれるか、机を散らかさずに進められるかなども判断基準となります。
<話の記憶>
登場人物や心情などを中心に細かい要素まで問われるので、情景を想像しながらお話を聞けるかがカギです。
日常から読み聞かせなどをたくさんして、お話を聞くことに慣れておくとよいでしょう。
また、終わったあとに「どんな人が出てきた?」「〇〇はどんな気持ちになったかな?」などを問い、自然に実際の問題を解く経験を積んでおくのも効果的です。
<数>
「数」では大小や分配に関する問題が頻出です。
ポイントは、実際に足し算・引き算、かけ算・割り算をしないことです。
回答は「〜の数ぶん〇をかきましょう」という形式で、数字での計算が求められているわけではありません。
必ず計算自体も〇を書きながら行う癖をつけておきましょう。
【出題例】
1. 与えられたお菓子を3個ずつ分けるときに必要な箱を数ぶん〇をかく
2. 与えられたお菓子を3人で分けたときに一人に渡す数ぶん〇をかく
<推理・思考>
「推理・思考」では幅広いテーマが扱われます。
傾向としては、図形や理科からの出題が多いです。
他校の過去問なども用いて、様々な問題パターンの演習を積んでおけると安心でしょう。
【出題例】
1. 箱に紐をかけるときに一番紐が長くなるかけ方を選ぶ
2. お題の図形を重ね合わせてできる図形を選ぶ
3. お題のつみきを横から見たときの見え方をかく
<常識>
生活の中の常識から、道徳的な常識まで出題テーマは様々です。
とくに「総合」の授業で栽培を行うこともあり、野菜・果物などの食べ物や季節に関する問題が頻出です。
日々の会話の中で質問を投げかけて、色々なことに興味を持たせるとともに、間違った知識やしてはいけないことはその都度訂正・教育していきましょう。
教える・しかる際はただしかるのではなく、なぜそうなるのか、なぜいけないのかまで説明することで、お子さんが納得しやすく定着が早くなります。
【出題例】
1. 食材とその原料を線で結ぶ
2. 絵の中でいけないことをしている人を選ぶ
3. 四季に関する絵を見て、おかしな部分を選ぶ
②個別テスト
個別テストでは毎年、プレートを枠にはめる課題が出題されています。
お手本の台紙とビニール袋に入ったプラスチックのプレート数枚が用意され、再試にピッタリはまるように置きます。
課題が正しくできるかに加えて、終わった後にしっかりとビニール袋に片づけられるかも見られています。
他校ではあまり類を見ない特徴的な課題ですが、ここ10年形式は変わっていないので、過去問を参考に練習を積んでおけば、それほど心配はいりません。
③集団テスト
集団テストでは「制作」「集団ゲーム」の課題が課されます。
「制作」では毎年お題が異なりますが、難易度は高くありません。
はさみやセロハンテープが使える、蝶々結びができる、などテストひと通りの工作スキルがあればそれほど心配はいらないでしょう。
「集団ゲーム」では他の受験生とともに指示行動やゲームを行います。
指示を正しく聞けるか、他の子と相談しながら進められるか、順番を守れるかなど、コミュニケーション能力や社会性に関する行動観察です。
とくにコミュニケーションの面は、初対面の子と関わる機会を積極的に設けてあげて、テストの際に戸惑うことがないようにしておきましょう。
また、家庭でも約束をちゃんと守っているかなどに目を配って、指示を聞く習慣を身に付けておけるとよいでしょう。
④運動テスト
運動テストは年度によって課されない場合もあります。直近10年間ではちょうど半分の5年度で課されていました。
立ち幅跳びやボール投げ、体操など課題の内容は一般的ですが、運動に対する意欲や持久力なども問われています。
幼稚園や公園などで定期的に運動をして、基礎的な運動能力は身につけておけるとよいでしょう。
まとめ
カリタス小学校は、2023年に創立50周年を迎えるカトリックの私立小学校です。
カトリック校ならではの心の教育や、英・仏を複合した外国語教育など独自のカリキュラムがたくさん用意されていて、学力面・定性面ともに大きな成長が期待できる学校となっています。
入学試験は面接とペーパーテスト・集団テスト・個別テスト・運動テストによる考査に分かれています。
音読やお話作りなど特徴的な出題形式もあり、入念な対策が必要です。
家庭内での対策に不安がある方は、合格実績のある私立小学校専門塾などで対策していきましょう。
苦手に合わせて1単元から対策できますので、ぜひご家庭での対策にご利用ください。